みんな、ダーマトってるかい?

 

読書をするときに使っているものがある。ダーマトグラフだ。
ダーマトグラフというのは紙巻き鉛筆。糸をクルクルと引っ張ると
色がついた芯が出て来るアレだ。

小学生のときに女子がその赤を使っていて、変わった色鉛筆だなと思っていた。
どこの文具店で売っているかわからないし自分には普通の赤えんぴつを持っているから
ずっと使うことはなかった。

そして社会人になりダーマトグラフの存在を再び知ることになった。
きっかけは「読書は1冊のノートにまとめなさい」という奥野宣之氏の著書。

本を読むときに自分にとって大事そうなところにダーマトグラフで傍線を
引いているのだそうだ。色は黄色。
傍線を引いたところを1冊のノートにまとめていく。

僕をそれを真似することにした。
というのも、それまでずっと本は読んでいたが、ただ字面を追っているだけのような
気がしていて1冊の本を読んでもさて何が書いてあったのだろうかと
思い出そうにも覚えていない。
それをひたすら繰り返すような読書をしていたからだ。

再読しようにもまた始めからずっと終わりまで読むという
いたって時間がかかる再読方法で、2度目読んだときには
1度目に読んだときと同じ箇所で感心するだけで
同じことを繰り返すような感覚だった。
そう読書が深まらないのだ。

もっと深めていくには自分なりに得たその本のエッセンスを抜き出し
そこから自分の考えをより進めていく。
そうした活動が読書を深めていくのであり、人生を豊かにしてくれるのだ。

今までの読書方法だったら著者の言葉の上でダンスを踊らされているようなもので
自分なりの創作ダンスを作っていかなければならない。

そのきっかけになるのがダーマトグラフ

ダーマトグラフを使えば本を読みながら傍線をひける。
2度目読むときにそこだけ読めばいい。
再読のハードルが下がるから、再読したくなる。
すぐに再読すれば1度目の読書のときと感じること違う場合に
それに気づくことができる。新しい発見も得やすい。
これぞダーマトグラフスパイラル。知の螺旋階段だ。

上へ登るスピードは相変わらず遅いかもしれないが
確実に登っている感を味わえる。

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ただダーマトグラフ読書にもいいところばかりではない。
まず本が汚れる。黄色やオレンジや赤の傍線が引かれた本は
他人が見たら汚いと思うかもしれない。

次に本が売れなくなったり人に譲りにくくなる。
今まで読み終わった本はブックオフに売り飛ばしていたが
ダーマトった本はもう売れない。
買い取ってくれないから持っていくのが億劫になり
部屋の中に本が溜まっていく。
そしてダーマトった本は人に譲りにくい。
「あいつこんなところに線引いてるぜ」なんて思われると
こっ恥ずかしい気持ちで夜も眠れない。考えすぎか。

それでも黄色やオレンジや赤の傍線だらけの本は
自分の本になった気がする。
何も線が引かれていない本は本屋に並んでいる本と変わりがない。
だれの本でもない状態だ。
本は傍線が引かれて初めて属人性を帯びてくる。
「これはオレの本だ」
誰の本でもない、著者が書いた本でもない、オレの本。
自信を持って言えるのが自分でダーマトった本なのだ。

だから本はダーマトるに限る。